ピエール・ガニェール で ピエール・ガニェールの料理をいただく
ANAインターコンチネンタルホテル内のピエール・ガニェールでディナーをご馳走になるという幸運に恵まれた。
しかも、たまたまご本人来日中につき、ピエール・ガニェールさん自身によるスペシャルメニューだそうな。
こんな良いこと、もうないかもしれない…。
モダンな設えに高揚。
東京タワーが綺麗に見える席。
写真よりも実際のほうが大きく見えた。
生姜のクッキー、コーンチップ&クリーム、ルッコラのフィナンシェ、シナモン味スティックの刺さったエストラゴンのギモーブ。
グラスのシャンパンはルイ・ロデレールかクリュッグか。
クリュッグを飲む幸せ。
やっぱり美味しいなあ。
パンは4種類。
これはカンパーニュ。
バターはエシレの塩なしと、ルーコラバター。
このルーコラバター、試しに1口食べたっきり。
なくてもよい。
ナッツやドライフルーツの入ったもの、酸味の効いたもの、チャバッタ。
まずは白ワインをグラスで。
女性のソムリエさんに料理に合いそうなものを選んでいただく。
シャトー・タルボのカイユ・ブラン 2006。
濃い黄色、熟成した香り、でも酸味は強い。
それだけではどこか足りない気がしたが、料理と合わせたら俄然美味しくなった。
そうだった。
ピエール・ガニェールは1度に複数の皿が出るのだ。
パースニップスのヴルーテと菊芋のジュレ、サラダ菜で包んだオシェトラキャヴィアを添えて。
サラダ菜の中にも菊芋が別の方法で調理されたものが。
不思議なゼラチン状のもので覆われたスープは、パリ風ブイヨン(マッシュルーム、根セロリ、フヌイユ、フレッシュハーブ、タラバガニ)。
蟹充満。
マッシュルームや根セロリ、ハーブが芳しい。
カイユ・ブランと良く合う。
天然真鯛とクミンの香る人参のムースリーヌ。
さらに3皿。
今度のグラス白はオリヴィエ・ルフレーヴのムルソー 2006。
白い花の香り。
単体でも楽しめるワイン。
貝のマリニエール。
ホタテ、赤貝、平貝、つぶ貝…だったかな?あともう1種類はなんだ?
海の香りと貝ならではの歯ごたえを満喫。
バターソースで磯臭さに転ばず洗練されている。
キャベツで包まれたのは、
イベリコ豚とアンディーブ。
ポタージュ・キュルティヴァトゥール。
野菜の甘さがじんわりと染みるスープ。
ボリュームのある料理がやってきた。
メヌケのヴァプール、クレソンのサラダ、レモンコンフィーとケッパーと共に。
良質なバターをたっぷりと使ったソースはフランス料理らしい。
レモンと大粒ケッパーがさっぱりと清涼感。
メヌケのむっちりとした質感も加わり、重層的で口飽きない。
モダンなのに、それぞれの料理にしっかりと伝統と基本を感じられるのが、ガニェールの好きなところ。
このソースなんて、まるでフランスにいるような錯覚に陥る。
黒大根、赤カブのサラダにはみかん(オレンジ?)のソース。
珍しく1品で登場。
トリュフの香るオニオンのペタル、リンゴのセミ・コンフィー、クリーム・アルブフィア。
濃厚な中にリンゴの甘酸っぱさ。
肉料理には、ボトルの赤を。
ロシニョール・トラペのジュヴレ・シャンベルタン 2005。
このソムリエさん、コミュニケーションが取りやすくて、お勧めしてくれたものは全てカチっとはまった。
ピノ・ノワールは美味しいねえ。
肉料理はストゥーブに入ってやってきた。
鴨のフォアグラのロースト、ピュイ産緑レンズ豆、ベーコンとモリーユ茸、マスタードの効いた赤ビーツのアクセント、薄切りにした鳩胸肉の黒コショウ風味。
見た目通りに濃いのだが、茸の芳香、レンズ豆のサクサクした歯ざわりや赤ビーツの酸味でするすると食べてしまう。
フランス料理を食べていることを実感できる。
いつの間にか、東京タワーの電気が変わっている。
なんの意味だろう?
モッツァレラのアイスクリーム、とろみと辛味を効かせたグレープフルーツジュース、タンドリーの香るマンゴーと共に。
奥はモン・ドールフォンデュ、トリュフとヴァン・ジョーヌ風味。
この緑のはなんだったかねえ?
デザートワインにドメーヌ・カズのミュスカ・ド・リヴザルト。
ここら辺りから、記憶が薄い。
写真だけはやたらに撮っている。
次の日、「デザートは3皿でしたよね?」というメールをいただくが、お互いにカメラに残っていた写真を見てびっくり。
ずいぶんとデザートがたくさんあるのに、味の記憶がほとんどないというもったいなさ。
それにつけても、素晴らしく贅沢な体験をさせていただき、ありがとうございました!!