Pierre Sang Boyer
朝、仕事に行く前にパン屋でクロワッサンかパン・オ・ショコラを買って歩き食い、または近くのカフェに持ち込んで食べるのが、パリ出張の楽しみの一つ。
東京にも美味しいパン屋はたくさんあれど、やはりフランスのパンは無敵に美味しい。
メインの仕事が終わった金曜、開放的な気分。
特に約束もないし、ここは1人でぼんやり食事をしよう。
アヴァン・コントワール…とも思ったが、今回の宿泊先からは遠い。
疲れてもいるので、ホテルの近くで済ませたい。
もちろん予約はしていないから、雑誌のパリ特集で気になった店を覗いてみる。
19:00過ぎという、フランスの夕食タイムには早い時間なのだが、空いている席はない様子。
通りがかりで、オープンなカウンターの店が気になり、入ってみる。
開店1ヶ月の新しい店だそう。
Pierre Sang Boyer。
シェフは韓国人だ。
少しずつ色々と出てくるデグスタシオンコースと、料理に合わせたグラスワインのセットを薦められ、それに従う。
まずは、泡。
ラベルがかわいい、ロワールのジャン・フランソワ・メリオー、ジャン・ボア。
1皿目。
生ハムにトマトノソルベ、タコ、バルサミコソース(?)。
下にバジルソースも。
ああ、コレ系の料理か。
残念ながら、イマイチピントが合ってない。
トマトがソルベである理由を汲み取れないし、素材の組み合わせの必然性も感じられない。
こだわりのバターらしく、美味しい。
カウンターにバケツほどの大きさのがドンっと置いてあり、そこから切り分けるから、気分もイイ。
パンは温めて出してくれる。
魚屋から、巨大な魚が届くのを目の当たりにしたら、期待するよね。
軽く燻製にしてある魚に、アイスプラントとじゃがいも、ビーツ、杏。
ソースはバター風味。
同じくロワール、ヴァンサン・カレムのヴーヴレイ。
ワインのセレクトは好きだ。
マグロは刺身で、揚げてあるのは内臓っぽい、ここでもアイスプラント、マヨソース。
鴨の心臓はロゼな火入れで、酸味のある赤ワインソースに絡めてある。
下はクリーミーなポレンタ。
これはなかなか美味しいから、もっと食べたい。
ところで、もうお肉が出たってことは、まさか、あのお魚は食べさせてもらえないの?
さらにロワール。
シャトー・イヴォンヌのラ・フォリー 2010。
気が付けば満席。
外で待っている人もいる。
どうやら、地下にテーブル席がある模様。
チーズには小豆のジャム。
このチーズ、捻りのある香りで美味しかった。サヴォアのだと言っていたような。
小豆のジャムは、ほんのり酸っぱくて、あんことは異なる。
でも、このチーズにはメンブリージョや、クセのある蜂蜜の方が合うのではないかと。
ところで、さっきからずっと目の前に肉の塊があって、うっとりと眺めていたのだけど、それも私の口には入らないということね。
ラングドック、GaydaのFigure Libre 2010。
入った時から、隣の席に鼻ピアスをした女子とその彼氏らしきカジュアルなカップルが座っていた。
私と同じメニューを頼んでいて、彼女たちも初めて来たようだ。
どこの国でも女子の方が気さくである。
鼻ピー女子は見かけに似合わぬ食いしん坊で、なんとなく波長が合い、巨大魚が届いた時には、「あれ、そそるね」的なことを言い合い、肉の塊がオーブンから出たところでも目配せをし合った。
チーズが出た段階で、彼女と一緒に落胆。
「私たち、まだまだ食べたいよね」と。
そこから会話が始まり、もじもじと彼氏も加わる。
話すのはもちろん、食べ物の話。
欲望を同じくするものには共通の言語があるのだ。
彼女たちによると、この店のシェフは「トップシェフ」という料理の鉄人的番組で3位になったのだそう。
「でも、オープンして1ヶ月だから、料理もまだこなれていない感じ」と。
鼻ピーは、以外にグルメなのであった。
「近くにその番組で1位になった人の店があって、すごくオススメ」と言う。
自分たちの名前を出せば、良くしてくれるとも。
店の名前はLa Galopin。
機会があったら、行ってみよう。
なお、先ほどのバターは、Baratteという製法(?)だと教えてくれた。
そうこうしている間に、カウンターはきれいに拭き清められ、直接ソースが置かれた。
手で食べてくださいとのこと。
チョコレートのケーキとアンズのコンポート、苺のソース。
色々と考えているのだろうな。
サービスの人たちは皆フレンドリーで気持ちが良いし、料理も悪くない。
ただ、まだお腹が空いているよ。
そう訴えても、これ以上料理は出ないそうなので(待っている人がいるしね)、お会計をし、鼻ピーカップルに楽しいひと時のお礼を伝え、出る。
計65ユーロくらいだったから、コストパフォーマンスは良い方だと思う。
お腹が空いているのは、自分も胃袋の問題もあるから、文句は言うまい。
もう少し遅い時間に入ると、アラカルトだか、別のコースだかもあるらしい。
自らまた来ることはないがね。
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