ふと頭に浮かぶと食べに行かずにはいられない店の1つ、ともすけ食堂。
何度見ても浮き足立つ手書きメニュー。
さあ、今日は何があるかな。

グラスの泡で乾杯。
フランチャコルタのヴィッラ、エモツィオーネ、ミレジマート2008。
写真を撮り忘れたお通しは、シェーブルチーズを浮かべたパプリカの冷たいスープ。
大幅に遅刻してしまったので、前菜盛り合わせは取り分けで。
天然ブリの蒸しマリネ、オリーブオイル漬け、ドライトマト添え
焼き伏見唐辛子のビネガーマリネ
茹で落花生にかかっているチーズはペコリーノかな?
ラムやわらか煮とイチジクとえごまの葉とのビネガーマリネが、ともすけさんらしさ全開で震える。
トロリとしたイチヂク、それと同じくらいにやわらかく煮込まれたラム、エスニックな香りのえごまの葉を、胡麻とオリーブオイル、ビネガーが溶けあうように調和した味噌を思わせるソースがつなぐ。
個々の集合体ではなく、完全に1つになっている。
とれたてズッキーニのサラダ仕立て、パルミジャーノとレモンの風味。
シンプルだけど、はっとする美味しさ。
いくらでもいける。
ズッキーニの切り方や、パルミジャーノの粒の大きさが重要なのだろう。
組み合わせだけではない。
何気ないように見えて、レモンの効かせ具合やオイルの馴染ませぶりなど、完コピはできなさそうだ。
ワインは色だけ伝えてお任せで、ボトルを。
レ・ヴィーニェ・ディ・ザモ、ザモ・ビアンコ。
ブドウはミックス。
最初はグレープフルーツ。
タコの頭とスペルト小麦のやわらか煮、トマト入り。
タコ出汁がぎゅっとつまったスープに、パンを浸して飲むようにむさぼる。
タコは刺身かやわらか煮か、どちらかであるべきだと改めて思う。
さらに白。
コーダ・ディ・ヴォルペって、ブドウ品種なんだ!?
きつねのしっぽとは。
ドンナキアーラのイルピニア、コーダ・ディ・ヴォルペ。
カンパーニャのワイン。
ブイヤベースグラタンスープ。
この器とか、パンの大きさとか、みっしりぶりとか、ともすけさんの料理はビジュアルのそそりっぷりも常軌を逸してる。
グリュイエールチーズとパンの下には、ゴロっと丸ごとの玉ねぎ。
魚介出汁で煮込まれ、玉ねぎの歯ごたえはありつつも、甘くトロける。
寒い季節にまた食べたい。
とうもろこしとパルミジャーノチーズのリゾット。
ただ甘いだけではない。
ただとうもろこしなわけでもない。
夏、色々な店でとうもろこしを使った料理をいただいたが、今年最も心に響いたのは、コレとアルドアックのフラン。
長めの米で、きっちりとアルデンテになっているからこその一体感。
ゴーヤーと羊肉の煮込み、ペコリーノチーズ。
ジュージィに煮込まれたゴーヤーの苦さに、羊肉のスパイシーな香り、ペコリーノのひねたコク。
滋味。
アルビーノ・ロッカのバルバレスコ、2009。
やはりネッビオーロの香りが好きだ。
アンチョビナッツソースのペンネリッシェ。
ナッツを使ったパスタソースは、東京で一番なんじゃないか?
ここでも、構成要素の馴染みぶりに唸る。
ともすけさんで感動し、替えがないと思うのは、素材の組み合わせはもちろん、それがきちんと料理されているところなのだと、今さらながらに気づく。
魚介のほぐし身ソースの手打ちタリアテッレ。
ケッパーとパン粉のシャリシャリがアクセント。
名残惜しくて、チーズ盛り合わせ。
ゴルゴンゾーラ、グランカオ(羊)、グランカプラ(山羊)。
トマトのジャム、青リンゴの塩漬け。
デザートに合わせて。
ウサギラベルはポイエル・エ・サンドリのロッソ・ファイエ。
お先に立ち去ろうとする人を引き留めたのが、裏メニューのティラミス。
久しぶりに食べたけど、ちゃんと作られたものは、やはり美味しい。
ともすけさん、ありがとうございます!
プラネタのパッシート・ディ・ノート。
マローロのカモミールの香るグラッパ。
最後に白秋でしみじみ。
遅くまで居座ってしまって申し訳なかった。
いつまで食べ続けていたいと思う店。